「全国カヤマップ」作成支援のお願い

(2007/08/01)

  昨今のカヤネズミを取り巻く環境は、決して恵まれたものではありません。河川の改修工事や公園化、道路やゴルフ場の建設、ほ場整備、さらには外来種のアレチウリやセイタカアワダチソウなどの猛威により、カヤネズミの大切なすみかとなるオギやススキが生育する「カヤ原」がどんどん失われています。そのため、都市部やその周辺地域では、姿はおろか、巣を見つけるのさえ難しい状況です。

 カヤネズミは里山の生き物で、本来、私たちにとって身近な存在です。しかし、人間に直接害をなさないため、その存在にあまり注意を払われてきませんでした。さらに、これまでカヤネズミの野外での生態に関する調査・研究が殆どなされてこなかったことも、発見を困難にしている一因と言えるでしょう。

 1997年に日本哺乳類学会がまとめた『レッドデータ 日本の哺乳類』(川道武男責任編集,文一総合出版,)では、カヤネズミの評価は「情報不足」、つまり、生存調査に関する情報が少なすぎて、絶滅の判定が出来ないという評価でした。近年、相次いで出版された複数の都道府県版RDBでは「絶滅危惧種」や「希少種」に指定されましたが、一方で「情報不足」に指定されているところも少なくありません。

 「せめて、評価対象になるだけの情報量が必要」という認識のもと、私たちは1999年から全国のカヤネズミの生息状況を継続調査してきました。RDBでの評価によって、保護政策に弾みがつくよう、心から願わずにはいられません。

 この愛らしい生き物とすみかを守っていくために、是非「全国カヤマップ」作成にご協力下さい。