日本最小のネズミ、「カヤネズミ」(カラパイア)
上記の記事をご存じでしょうか?
ネット上のカヤネズミの紹介記事としては、よく知られている記事です。
実は、ここで紹介されているカヤネズミの写真は、
飼育個体をスタジオや屋外に放して撮影されたものです(元記事に書かれています)。
これらの写真をみて、「かわいい」と思う人は多いでしょう。
しかし、野生のカヤネズミでは見られない、不自然にアクロバティックな写真が多く、
竹馬にまたがったような姿は野外ではあり得ません。
もし日中に、このような無防備な姿をさらせば、すぐに敵に見つかってしまいます。
特に巣を大きく広げた写真は、カヤネズミの保護の観点から、あまりにも酷いと感じます。
過去に、このような事例がありました。
2009年に、滋賀県で、目も開かないカヤネズミの子がいた巣が、植物についたまま大きく
開かれ、発見者の男性が笑顔で写った写真とともに、「希少種のカヤネズミが発見された」
という趣旨の記事が、読売新聞に掲載されたのです。
子育て中のカヤネズミの巣は、出入り口が小さく、巣内はほとんど見えません。
人の手で巣が開けられたことは、一見して明らかでした。
「滋賀・高島の空き地で「カヤネズミ」巣…子ネズミ2匹」
(http://osaka.yomiuri.co.jp/animal/genre1/20090908-OYO8T00392.htm)
(リンク先は現在は見られませんが、情報ソースとして出しておきます。なお、本会の指摘を
受けて、当該写真は上記ページから削除されました。)
記事を書いた読売新聞大津支局の記者に確認を取り、記者が現場に到着した時には、
すでに巣は開けられていたと聞きました。
しかし、これが美談として掲載されたことは、非常に残念に思います。
たとえば、野鳥のヒナがいる巣を広げて、発見者がにっこり笑っている写真が添えられた記事
を読んだら、どう思いますか?
直感的にダメだと感じる人が多いのではないでしょうか。
カヤネズミも同じです。
カラパイアの記事には、演出された写真とは書かれていません。本記事掲載後、カラパイアの記事には、カヤ日記の記事を引用する形で、演出された写真である旨が追記されました(2018/3/20追記)。
しかしながら、いまだに日本では不自然に撮影されたようなカヤネズミの写真が出回り、本来の生態写真の
ように誤解されています。そして、さらに多くの過剰演出なカヤネズミの写真も目にするようになりました。
カヤネズミは、生息地の減少により、日本各地で絶滅の危機に直面しています。
どうか、記事を読んで、カヤネズミの巣を開けて良いのだと誤解しないで下さい。
人の手で乱暴に暴かれた巣は、放棄されます。
最悪、子どもが親に見捨てられたり、かみ殺されてしまう可能性もあります。
竹馬にまたがったようなポーズが、本来のカヤネズミの行動だと思わないで下さい。
これらは、演出された写真であるということを、重ねて強調しておきます。
1度ネット上に広まった情報は、簡単には収束しないだろうと思いますが、
カヤネズミについて、正しい理解が広まるように願っています。
全国カヤネズミ・ネットワーク
代表 畠 佐代子
カヤネット会員一同
最終更新日:: 2018年3月20日(火) 21:24 JST|閲覧数: 28,141