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第33弾 「カヤ原にいるカヤネズミの気持ち」

  • 2009年5月 1日(金) 21:59 JST
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    64,312
リレーエッセイ

「カヤ原にいるカヤネズミの気持ち」

カヤネズミを主人公にした絵本を描こうと思いついたのは、カヤ原という私達の身近な自然環境の中で、あんな小さい体で彼らはどんな喜怒哀楽をもって過ごしているんだろう?と想像してみたくなったからでした。

動物が生きていくためには感情に基づく行動が必要です。私達のまわりに何気なくいる生きものにも当然感情はあるわけですが、一般的都会人である私などの生活では、日常それを想像する機会は、ほとんどありませんでした。

しかし、縁あってカヤネットの活動に参加して、カヤネズミの存在を意識することとなり彼らのことを注意深く観察するうちに、まるで友人のように、小さな彼らの気持ちを考えるようになりました。
すると、ご近所さんにはヨシキリがいたり、アマガエルと知り合いになったりするのかな?と自然に設定も出来上がり、これを絵本にしたら子どもが読んで、カヤ原に興味をもってくれないだろうか?と思ったわけですが…。
 

着想から3年かかりました。
これまでイラストの仕事はしていましたが、絵本とは違いますから、専門学校の絵本科で本格的に勉強しました。

時間がかかっても描きたかった。
きちんとした絵本として世に出したかったのです。

時間の経過と共に、観察のため、やっと見つけたオギ群落の営巣地が護岸工事で一瞬にして消滅させられたり、知人に教えてもらった営巣地に駆けつけてみると、その地区唯一のカヤ場が駐車場に替わっていたり、と、アクシデントが続発。
そんな痛々しい現場に立ち会うたびに、カヤ原を失ったカヤネズミの気持ちになりました。

そしてカヤネットの仲間たちの助力も得て、おかげさまで、やっと完成。
多くの方の協力なくしては出来ない絵本でした。

原画展をみてくれた小さな女の子が、危機的な現状を理解して「ネズミさん、お家がなくなると死んじゃうの?」と心配してくれていました。
「そうならないように、カヤネズミさんのことを考えてくれる優しい気持ちを忘れないでね」と言えた時、がんばってよかったと、思いました。

現在どういった形になるか、何とかたくさんの方にみていただきたく奔走中です。
しばし、お待ちください。

西村かおり

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