図1右上の丸い白い建物が佐賀県立宇宙科学館、そこから歩いて15分ほどの所に、私が調査しているカヤネズミたちの営巣地があります。両側を照葉樹(自然林)・人工林混在の山に囲まれた谷間に広がる、猫の額ほどのせまい耕作放棄地です。
稜線を超えると、山の南側には採石場が大きく広がっています。昼間に調査していると、発破で山が崩される地震のような揺れや、石を運ぶベルトコンベアやショベルカー・トラックの音が、山の反対側の耕作放棄地にもけっこう大きく伝わってきます。
図1. GoogleEarthで見るカヤネズミ調査区
図2. 奥が耕作放棄地、刈取り途中の竹 |
図3. 奥が耕作放棄地、竹林を刈取った |
図4. 今年最初の巣(7月8日) |
このような過酷な環境に、私が調査しているカヤネズミたちは生息しています。前任の滑川喜生氏が2010年(平成22年)に調査を始められて4年目、私自身は2年目になります。昨年は巣の数が少し増えたのですが、今年になって頭が痛いのが、調査中のイノシシとの遭遇です。耕作放棄地周辺はヒトの手が入らないために、竹林が広がり、そこにからまるヤマイモなどのマント構造が、イノシシの絶好の隠れ家・エサ場となっていました(図2)。5月の約1か月で暇を見つけて、竹林の刈取りを行いました。カヤネズミのすみかの可能性も考えられたため、機械は使わずに、鎌1本で少しずつ刈り取っていきました(図3)。今年は例年より遅い7月8日に作りかけ?の巣(図4)を初めて見ることができました。
今年のテーマは、「竹林刈取りの影響がどのようにでるか」と「巣を作る植物の種類を調べる」です。今年も1つでも多くのカヤネズミ(の巣)に出会えることを楽しみにして、調査を続けていきたいと思っています。
大宅 利之(おおや としゆき、佐賀県立宇宙科学館)