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第36弾「泥の海からの復活」

  • 2013年10月 3日(木) 21:38 JST
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リレーエッセイ

それは、全くの当て外れでした。
私の所属する、京都自然教室の第329回自然観察会は、『河原の生き物を観察しよう!』と題して、9月29日に京都市隣の亀岡市の保津川河原で行う計画でした。
ちょうどこの保津川河原は、ここから始まる京都・嵐山までの保津川下りの乗船場所。
川下りの人々に手を振りながら、広い河原で網を持った子供達が虫捕りに走り回り、土手のアライグマやヌートリアの巣穴観察をする予定だったのです。

ところが、台風18号の嵐山・桂川氾濫は幾度もTV中継をされて、全国的に有名になりましたが、保津川はその嵐山の山々(保津峡)を越えた桂川の上流の別称です。
当時、JR亀岡駅が水没するという状況に、当然この保津川河川敷もしっかりと水没。
観察会前週に心配で確認しに行ったところ、あたりは一面の泥の海。
本当は、そこにあったオギ原で子供達にカヤ巣探しをして貰う予定でした。
当然、公に出来ないので、参加者だけの特権だったのですが、無残にも…
遠い土手に避難していただろう虫達は、泥海の河川敷を尻目に良く鳴いていましたので、虫捕りの観察会は可能となりましたが、私の肝心の目論見は完全に費えました。
勿論、当日参加者の方々には、水没前の状態からどんな風にカヤネズミ達が過ごしていたのかを、しっかりと伝えました。(子供達は虫捕りに夢中で聞いて貰えませんでしたが…)
倒れて泥だらけのオギが、環境変化に弱いカヤネズミの生活を説明するのに、悲しい事にいいアピールにはなりました。
聞かれた方は、直接巣を見るよりもきっと、より強く印象に残ったと思います。

私の所属する“京都自然教室”は、27年前にある市立小学校卒業生への記念観察会を開催以降、好評を糧に市民団体として、その後毎月一回京都市内周辺で主に親子への自然観察会を主催したり、各種団体からの受託観察会を受けています。
スタッフ全てがサラリーマンや主婦などボランティアなので活動に制限はあるものの、専門知識豊富な方々なので、どんな所でも・時でも、何かしらの観察会が出来ます。
モットーは“時速1キロの感動”です。参加者の“ほー!、へー!”を生きがいとしている面々は、休日の年間4・50回を家族をほっぽって、いそいろと野へ山へ出没しています。 
今回の観察会では、カヤ巣探しの目論見は砕けましたが、PRはしっかりとしておきました。
少しづつ、少しづつ広がっていけると思っております。ささやかな、広報ですが…

渡邉 健也(わたなべ けんや、京都自然教室)


泥の海から1週間で驚くほどの緑になりました。
草原の下は厚い泥。遠くに倒れて重なったオギ原が…

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