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第46弾「ヤギによるカヤ原保全の試み」

  • 2016年1月 4日(月) 13:23 JST
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リレーエッセイ

ヤギ 奥から:
日本ザーネン種 メス 2014年3月生まれ 体重40kg
アルパイン種 オス 2014年4月生まれ 体重60kg
日本ザーネン×アルパイン オス 2015年3月生まれ 体重40kg
近畿北部、中丹地方にある私のフィールドにもカヤネズミはひっそりと生息している。
ところが近頃セイタカアワダチソウがカヤ原に入り込み、どんどん繁殖しオギやススキを圧倒しつつあった。
草刈り機を使うとオギの間に入り込んだセイタカアワダチソウが残ってしまうし人力で抜くにはフィールドが広く(20アール)到底間に合わない。
カヤ原以外にも畑、農道、自宅庭などの草刈りは機械でもかなりの重労働で、年ごとに負担になってきている。
カヤネズミの巣を刈り飛ばす恐れがあるし、カエルなどの生き物を傷つけるのもいやだ。
何とかならないものか。
そこでペットを兼ねてヤギを飼い、除草をやってもらうことを思いついた。
 
ヤギなら草刈り機よりゆっくりだから小動物は避難できるだろうし、カヤネズミの巣がみつかれば、そこを避けてヤギを別の場所に連れて行けばいいだろう。
そんなわけで2014年初夏、二頭の子ヤギを迎え入れた。
有毒植物を調べたりマムシを追い払ったり、慎重に慎重を重ねているうちに、メスヤギが妊娠出産したりして延び延びになり、本格的なフィールドへの放牧は2015年春からとなった。

オギの間のセイタカアワダチソウを食べるヤギ
ヤギたちを野原へ連れて行くと様々な野草や樹木の葉をすごい勢いで食べまくるのだが、中でも特に好むのが藤、萩、クズ、スギナ、チシャ、そしてセイタカアワダチソウである。
桜の散る頃、早くも50cmほどの丈に伸びたセイタカアワダチソウのてっぺんの柔らかい部分を、ヤギはガバッと引っ攫ってムシャムシャ食べる。
オギの株間に入り込んだセイタカアワダチソウも、長い首を突っ込んで食べている。
先を齧られたセイタカアワダチソウは、その後脇芽を出して伸びるが成長速度は鈍る。
そして、ヤギはオギやススキの若い芽はあまり好きではないようである。

かじられた部分の脇から新しい芽が伸びてくるが成長は遅くなる

成長点を繰り返しヤギにかじられたセイタカアワダチソウは、草丈が低く抑えられる

オギとセイタカアワダチソウが半々だったフィールドはヤギの働きでオギが優勢となった

ヤギのこういう好みについて予備知識は全くなくて、カヤ原保全に頭を悩ませていた私にとって嬉しい誤算、渡りに船であった。
結果、ヤギを放したところではオギ・ススキの優勢、ヤギを入れず放置した場所はセイタカアワダチソウに占領された。
もしこれが多くのヤギに共通する嗜好なら、カヤネズミのための環境保全に役立つのではと期待している。

里山管理人になりたい(京都府在住)

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