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第47弾「申年?いえいえ私にとっては子年」

  • 2016年2月 7日(日) 21:02 JST
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リレーエッセイ
 2014年3月、会社から突然の移動を命じられ、熊本県美里町の社会教育施設で働くことになりました。美里町は熊本県の中央部に位置していて、高齢化率約40%、林野率約80%の日本にごくありふれた中山間地域の里山です。
 そんな私の仕事は「自然を題材にした、児童向けの教育プログラムをつくること」。林業が盛んな地域なので、木や森を中心とした活動を主に組み立てました。森でのレクリエーションやネイチャーゲーム、たき火をしたり、薪割りや枝打ち、間伐などの林業体験も行いました。
 様々な活動を通して気づいたこと、子どもは一番素朴な自然素材がとても好きだということ。川の水だったり、泥や土だったり、たき火の火だったり。大人が時間をかけて準備した活動より、ずっとずっと子どもたちは目を輝かせて、その自然を使って遊びます。そして、それらと同じくらい強い興味を示したのは、「生き物たち」の姿でした。
 昨年から地域の農家さんのご協力の元、年間をとおして無農薬有機栽培のお米づくりをはじめました。田植えや雑草の間引き、稲刈り、脱穀など、ポイントごとに、都市部の子どもたちを連れてきて活動を行いました。後谷(うしろだに)と呼ばれるその土地は5年前には、まだ耕作放棄地。その農家の方が地道な開墾を進め、一昨年にビオトープとして復活したばかりでした。
 田植えの時期、泥に素足を入れその感触にどよめく子どもたち。ちょっと足を進めると「何かいたー」と生き物を怖々と捕まえて持ってきました。手には十数匹のアカハライモリにオタマジャクシ、ボランティアの大学生も引いてしまう活きの良さ!そこから子どもたちの生き物採取がとまりません。
 季節は移り稲刈りの時期、子どもが「何か見つけた」と持ってきてくれました。見ればそれはカヤネズミの巣。振り返れば、自分が刈っていた箇所にもカヤネズミの巣がちらほら。
 その巣の発見後、「去年もこの巣はあったけど今年はたくさんあるなぁ」、「カヤネズミは日本で一番小さいネズミらしい」、地域の農家の方も子どもたちも好奇心が芽生えはじめました。来年は後谷の生き物図鑑を作ろうか、カヤネズミの実際の姿もみてみたい、カヤネズミからはじまる新たな展開。
 美里町に移り住んで3年目、今年は私にとってカヤネズミの年になりそうです。

美里自然学校 宮崎 高虎(みやざき たかとら 熊本県在住)

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