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第52弾「ネズミがなく」

  • 2016年7月 9日(土) 16:16 JST
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リレーエッセイ

2015年2月21日 20:15~
夜の森で鼠を観察しようと鼠を迎える箱の入り口にヒマワリの種とセンサーを置いて近くの車で張り込みしていた時がありました。
30分程するとセンサーが反応し、確認しに行くのですが特に変化はありません。しばらくそのまま待っていると箱の左方向に気配が・・・その後、右方向から 「ヂィーヂィーヂィーヂィー」と激しい鼠の鳴き声がしてきました。鳴き続けているところをライトで照らして見るのですが姿はさっぱり確認出来ません。おそ らく自分が餌場に居ることへの不満か警戒で鳴いているのだろうと思い、何だか自分の存在を認めてもらえたような感じがしたのと初めての体験とで少し嬉しく 思っていました。
その後に近くでフクロウの鳴き声がしました。10分程の出来事です。

それから15分ほどして再びセンサーが反応しました。さっきまで手付かずだったヒマワリの種は数が減っていました。目の前で待っているとセンサーが反応し、見てみるといつのまにかヒマワリの種は無くなっていました。まるで手品みたいです。そのあとまたフクロウの鳴き声がし、同時に「ギャア、ギャア」という鳴き声がかなり近くまできて鳴き続け、これもライトで照らしてみたもののまったく確認出来ませんでした。向こうからこちらは見えているような感じで最初はタヌキ位の獣??と思いました。やがてその鳴き声は鳴きながら離れていき、離れ方からその時は「樹上性の何か」であろうと推察しました。のちに「キキィ、キキィ」と鳴く幼いフクロウよりも少し大きく成長したフクロウであることがわかりました。(フクロウのメスである可能性もあるようです)
それからしばらく経ち森の別の場所で同じように鼠が激しく鳴くことがあり、この時も照らしてみたものの姿は確認出来ませんでした。
この時もフクロウの鳴き声がし、ちょうど自分の目の前には「ギャア、ギャア」と鳴く若いフクロウが居ました。(このフクロウもメスの可能性がありそうです)
その若いフクロウは親であろうフクロウの鳴き声のした方へ飛んでいき、戻ってくると鼠をくわえていました。おそらく親から与えられたものと思われますが・・・鼠好きとしては少し複雑な気持で眺めていました。(2015.5.5 22:30)

2015年9月2日 18:45~
あたりが暗くなり夜が更けようとしている頃に神社の社殿を通りかかると社殿の中から「ドン、ドン、ドン」という鈍い音が・・・その鳴き声ともいえない想像もつかない音に「まさか中に人が・・・」と恐る恐る戸を開けると・・・(戸は最近多い社殿を覆うように設置されたアルミサッシのガラス戸)
音の主はキセキレイのようでした。全力でガラス戸に体当たりしていたようです。
そのまま社殿を気に留めずに通り過ぎてしまっていたらきっとあちこち傷ついて死んでしまっていたでしょう・・
このキセキレイ、もはや疲れ果て・・・と思いきや、元気に夜空へ飛び立ってゆきました。信じる者は救われる・・・こともあるのです。野鳥の信念をみました。諦めずに続けていれば叶うこともあるのですね。


キセキレイ

しばらく経ってから、ネズミが鳴いていたときのことを思い出していました。
その鳴き声は昔かっていたハムスターが鳴いていた鳴き声に似ていて、でもハムスターってそんなに鳴かなかったなぁと・・
それはハムスターをかっていた鳥用のケージを掃除していて下皿のプラスチックトレーに上にかぶせる四角い金網のケージの横を凹ませてパチンとセットしたときのことでした。
「ヂィーヂィーヂィーヂィー」と激しい鳴き声が聞こえ、「んん?」とみてみると内側に凹ませた金網ケージとプラスチックトレーをセットするときに出来た隙間から出ようとしてハムスターが鼻を出したらしく、見事に鼻を挟んで泣き叫んでいました。あわてて外しましたがしばらくは「くしゅ、くしゅ」とつらそうでした。人が指を挟んでも痛いのに敏感な鼻を挟まれて想像を絶する痛さだったことでしょう・・
もう一匹、別の小型ハムスターが鳴いたときは不用意に背後から手を近付けてしまった時にくるっとこちらに身をひるがえし腹を見せながら「ギー、ギー、ギー、ギー」と大きな声で鳴きました。まるで「自分を食べても旨くないぞ!」と叫んでいるようにみえました・・
そんな昔のことを思い出していると・・・「はっ!!!」と気づきました。
ハムスターはハムスター同士が喧嘩するとき以外はほとんど激しい鳴き声を出さなくて鳴くときは危機的な状況の時だけでした。。
どうやら・・・森で聞いた鼠の鳴き声は私に向かって鳴いていたのではなく、悲鳴だったようです・・・


フクロウ、ネズミをくわえる

フクロウに捕えられたネズミが鳴く姿は映像で散見されるので・・・
その時の状況を回想するとフクロウの足で捕えられた時かくわえられた時のネズミの鳴き声と思われ、その後に互いにフクロウは鳴き交わし鼠は授受されたものと推察されます。
静かな森で聴くネズミのなき声は大きなもので・・・森の営みなのでこれも現実と受け止められますが、鼠や生き物をかうときは泣かせないように育てたいものです・・


叫ぶカヤネズミ

岡本 毅(おかもと・つよし、石川県在住)

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