目の前のアカマツの木にニホンリスが1頭やってきました。マツボックリを1個取って、食べはじめます。はたしていつまで何個続けて食べるのだろう?ノートをポケットから出して、記録します。8時開始で、1個、2個、3個、4個、5個。最初の30分間で5個たいらげました。まだまだ続きそう……。 | |
球果の下側から猛スピードで鱗片を剥がしては根元に着いている種子を食べ、剥がしては食べ、剥がしては食べ……。
かかる時間は、わずか数分!全部食べたら、カスは捨てて、次のを探しに行きます。
どれにするか決めたら、くわえて先ほどの場所に戻って、また剥がす……。
驚くほどの集中力です。まさしくわき目もふらずに食べ続けます。
10個目にとりかかったのが1時間後、20個目は2時間後。これだけ食べてもまだ足りないようです。
約3時間後の10時50分に30個目を終わらせ、31個目を口にくわえて枝伝いに林の奥に消えていきました。
途中で落とした音が聞こえます。しまった!というリスの心の声とともに。
なお、正確には、リスが食べている瞬間は見えませんでした。
地面から高さが全体の3分の2の、下からも上からも見づらい枝の根元を食事の場所にしていたからです。
目にしたのはひとつ食べ終わるたびに探しにいくあいだだけ。それでも、はじめと終わりの時刻は耳を頼りに記録できます。
とくに最後に投げ捨てたカスが地面に落ちた瞬間、乾いた音が響くので。そのカスを見に、リスが去った後の木の根元まで足を運びます。
真新しいエビフライが散らかっていました。
大きさとしては、小さすぎるかもしれませんが、形はまさにエビフライそのもの。これが全部本物のエビフライであったなら……。
週末は帰宅時に駅前のストアでエビフライを買わなければ。いや、どちらかというと、エビのてんぷらがいいな。
これで木曜日の夕食の献立が決まりました。
さすがに30個は食べられないけど。
補足
これも舞台は山梨県山中湖村にある林です。ちなみに、中華料理の食材として使用される「松の実」は、もっと大型のチョウセンゴヨウの種子を指します。
また、マツボックリを食べているニホンリスは撮影できなかったので、巣材用にスギの皮を剝いでいる写真を代わりに載せました。
佐久間 保彦(さくま・やすひこ、神奈川県在住)